お子さんが学校に行きづらくなると、心配ごとと一緒に「お金」の不安も出てきます。たとえば、こんなことが気になるのではないでしょうか。
- フリースクールは高いのだろうか
- 給食費は払い続けるのだろうか
- 使える制度はあるのだろうか
調べても、施設のサイトや自治体のページがばらばらで、全体像がつかみにくいと思います。
このページでは、学校を休んでいる間のお金を、費用がかからないものから順に並べて整理します。数字は文部科学省や自治体の公表情報をもとにし、出典と確認日を末尾にまとめました。まずはお金の全体像だけ、いっしょに整理していきましょう。
先に結論:無料で使える公的な学びの場があります
学校の外の学びの場と聞くと、まずフリースクールを思い浮かべる方も多いかもしれません。ただ、費用の面から見ると、先に確かめてほしいのは、無料か低額で使える公立・公的な学びの場のほうです。
順番でいうと、こうなります。
| 順番 | 学びの場 | 理由や特徴 |
|---|---|---|
| 1 | 教育支援センター (適応指導教室) |
自治体・教育委員会が関わる公的機関。利用料は原則かからないところがほとんどです(実費は要確認) |
| 2 | 学びの多様化学校 (いわゆる不登校特例校) |
公立なら授業料は無償。通える範囲にあるかは地域によります |
| 3 | フリースクール | 民間の施設。月謝がかかり、金額の幅も大きいです |
| 4 | 自宅での学習 | 教材費だけで始められます。条件を満たせば「出席扱い」になる場合があります |
大切なのは、いきなり一つに決めなくていい、ということです。まずは在籍している学校の担任やスクールカウンセラー、市区町村の教育委員会に「うちの地域にはどんな場所がありますか」と聞くところから始められます。相談そのものにお金はかかりません。
現役の小学校の教員として現場を見ていても、費用の心配から学校の外の学びをあきらめてしまう前に、公的な支援がどこまで届くかを知っておくと、選べる場所はぐっと広がると感じます。
学びの場ごとの費用を横に並べてみる
同じ「学校の外の学び」でも、お金のかかり方は大きく違います。まずは次の表で全体を見てください。金額は目安で、地域や施設によって変わります。
| 学びの場 | 費用の目安 | お金のかかり方 |
|---|---|---|
| 教育支援センター (適応指導教室) |
利用料は原則かからない (実費は要確認) |
自治体・教育委員会が関わる公的機関 |
| 学びの多様化学校 (公立) |
授業料は無償 | 公立の学校。給食費・教材費などは通常の学校と同様 |
| 学びの多様化学校 (私立) |
学費がかかる | 私立学校としての学費・諸経費 |
| フリースクール (民間) |
月額の会費がかかる (幅が大きい) |
民間施設。入会金が別途かかる場合もあります |
| 自宅学習 | 教材費のみ | 市販教材やオンライン教材の費用 |
表を見ると、費用の心配が一番小さいのは教育支援センターと公立の学びの多様化学校だとわかります。この二つは、まず地域にあるかどうかを確かめる価値があります。
一方で、フリースクールは金額の幅が大きく、「相場はいくら」と一言では言いにくい場所です。次の章で、その中身を分けて見ていきます。
地域や施設によって費用には幅があるので、気になる学びの場は、お住まいの自治体や各施設の公式情報で確かめてください。
教育支援センターの費用について
教育支援センター(適応指導教室)は、主に市区町村などの自治体・教育委員会が設置や整備に関わる公的な支援の場です。文部科学省の実態調査でも、設置の主体は教育委員会が大半を占めています。学校を休んでいる子どもの学びや居場所を、公的に支える場として置かれているところです。
たとえばさいたま市では、市が運営する教育支援センター(もとの「適応指導教室」)があり、さいたま市に住んでいるか市内の学校に通う小中学生が、無料で利用できます。学校に通うことが難しい子どもに、一人ひとりに合わせた支援を行う公的な場です。
利用料については、原則としてかからないところがほとんどです。ただし、昼食代や教材費といった実費がかかる場合や、運用のこまかい部分は自治体によって異なります。無料と決めつけず、通えそうな教育支援センターがあれば、費用の扱いも合わせて教育委員会に確かめておくと安心です。
フリースクールの費用の実際
フリースクールの費用は、月額の会費が中心です。文部科学省が2015年(平成27年)に行った民間施設の実態調査では、月額の会費は「1万円超3万円以下」がもっとも多く38.2%、次いで「3万円超5万円以下」が36.3%でした。平均するとおよそ3万3千円という結果です(出典は末尾に記載)。
ここで気をつけたいのは、この数字が2015年の調査だという点です。今のあなたの地域の施設の料金そのものではありません。目安として頭に置きつつ、実際の金額は各施設に問い合わせて確かめてください。
会費のほかにかかりうるお金もあります。
| 費目 | 目安・注意点 |
|---|---|
| 入会金 | 施設によって幅があり、まとまった額が必要なところもあります(同じ調査では平均約5万3千円) |
| 教材費・イベント費 | 月謝とは別に実費がかかる場合があります |
| 交通費 | 通う頻度と距離によっては、まとまった負担になります |
フリースクールは運営のかたちもさまざまです。週に何日か通う通学型、自宅から参加するオンライン型、寝泊まりする共同生活型があり、費用の重さもこの順で変わっていきます。「毎日通わせなければ」と気負う必要はなく、週1〜2日から始められる施設もあります。まずは通う頻度と予算をセットで相談すると、無理のない形が見つけやすいです。
費用の負担が重いと感じたときは、お住まいの自治体や施設に、利用料の補助や減免がないか確かめてみてください。文科省の同じ調査でも、独自の減免制度を設けている施設が一定数ありました。公的な支援は、この後の「使える制度」の章でふれます。
学校を休んでいる間も出ていくお金
学びの場の費用とは別に、在籍している学校に関わるお金も気になるところだと思います。とくに質問が多いのが給食費です。
学校を休んでいる間の給食費は、止められる場合があります。多くの自治体では、一定の期間食べないことがわかっていれば、申し出によって停止や返金の手続きができます。ただし、いつから止められるか、日割りなのか月単位なのかといった細かい扱いは、自治体や学校で異なります。担任か学校の事務、給食を担当する窓口に「しばらく登校が難しいので、給食を止める手続きを知りたい」と伝えるのが確実です。
私が勤務してきた学校でも、通うのが難しくなった子の給食を止めた例が実際にあります。保護者から「通いづらくなっている」と連絡をいただいて止めたこともあれば、学校の側から「給食を止めることもできますよ」とお伝えしたこともありました。手続きや扱いは学校・自治体によって異なりますが、これは相談してよいことです。まずは担任や学校に連絡してみてください。
2026年4月から、公立小学校の給食費の負担を軽くする国の制度が始まっています。文部科学省の資料によると、完全給食の場合で1か月あたり5,200円を基準に補助されます。対象は公立小学校の児童で、国立・私立の小学校や中学校は、この制度の対象には含まれていません(文部科学省「学校給食費の抜本的な負担軽減」、市町村向けQ&A)。
気になるのは、給食を食べていない不登校の子がこの負担軽減の対象になるのか、という点だと思います。文部科学省が市町村向けに出しているQ&A(2026年2月更新)を見ると、給食を食べない児童(非喫食者)をどう扱うかは、学校の設置者、つまり市区町村などの判断に委ねる、とされています。このQ&Aで「非喫食者」の例として挙げられているのはアレルギーなどで給食を食べない子どもで、不登校の子どもと名指しされているわけではありません。国は、誰をどう対象とするかの考え方を、これから示していく段階にあります。
つまり、休んでいる間の給食費が負担軽減の対象になるかどうかは、いまの時点では全国一律に決まっておらず、お住まいの市区町村の扱いしだいです。実際にどうなるかは、教育委員会に直接確かめるのが確実です。
使える制度を確かめる
経済的な負担を軽くする制度は、いくつかあります。まず知っておきたいのが就学援助です。
就学援助は、経済的な理由で子どもを学校に通わせることが難しい家庭に対して、学用品費や給食費などを援助する制度です。文部科学省の就学援助ポータルに、対象となる費用の項目が示されています。学校給食費のほか、オンライン学習にかかる通信費なども対象の項目に挙がっています。申請の窓口は在籍する学校または市区町村の教育委員会です。
不登校の場合に就学援助がどう扱われるかは、自治体によって異なります。何が援助の対象になるか、休んでいる期間の給食費はどうなるかといった細かい点は、市区町村ごとの運用しだいです。ここは全国共通の答えを出しにくい部分なので、「うちの場合はどうなりますか」と教育委員会に確かめるのが、いちばん早くて正確です。
このほか、フリースクールなどの利用料を補助する制度を独自に設けている自治体もあります。助成の有無や金額は地域差が大きいので、お住まいの自治体名と「フリースクール 助成」で調べるか、教育委員会にたずねてみてください。
制度の名前はどれも難しく、説明も役所の言葉で書かれています。全部を自分で調べる必要はありません。学校か教育委員会の窓口で「使える制度を一通り教えてください」と聞けば、まとめて案内してもらえます。
自宅での学習を「出席扱い」にするには
自宅で学習を続けている場合、一定の条件を満たすと、在籍する学校で「出席扱い」として認められることがあります。お金の話とは少し離れますが、進級や進学のときの安心につながるので、あわせて知っておくと落ち着いて考えやすくなります。
出席扱いにできるかどうかを決めるのは、校長です。国が示している考え方では、次のような点が前提とされています。
- 保護者と学校が連携していること
- 計画的な学習が行われていること
- 学校がその内容を把握できること
国は、自宅でのICT等を使った学習についても、一定の要件のもとで出席扱いにできるとの考えを示しています。実際に認められるかどうかは学校ごとの判断になるため、まずは担任に相談するのが出発点です。
ここで気をつけたいのは、「出席扱いになる」とうたう教材やサービスを、費用の面だけで急いで選ばないことです。出席扱いを決めるのは教材ではなく学校です。教材はあくまで学習の手段の一つと考え、まず学校と話をしてから選んでも遅くありません。
まとめ:すぐに決めなくて大丈夫です
学校を休んでいる間のお金は、費用のかからない学びの場から順に確かめていくと、心配が思ったより小さくなることが多いです。
- 教育支援センターと公立の学びの多様化学校は、費用の負担が小さい公的な学びの場です
- フリースクールは月謝の幅が大きいので、地域の施設に直接確かめてください
- 給食費は止められる場合があり、2026年4月から国の負担軽減も始まっています
- 就学援助や自治体の助成など、使える制度は学校か教育委員会の窓口で聞けます
- 自宅学習は出席扱いになる場合があります。判断するのは学校です
どれか一つに今すぐ決める必要はありません。相談にはお金がかからないので、まずは学校や教育委員会に「うちの地域には何がありますか」と一言たずねるところから始められます。お子さんに合う場所を、あわてずに一緒にさがしていきましょう。
出典
いずれも取得日:2026-07-23
- 文部科学省「学校給食費の負担軽減に関するQ&A(市町村向け)」(令和8年1月作成・令和8年2月追記=2026年2月更新) — 給食を食べない児童(非喫食者)の取扱いは学校設置者(市区町村など)の判断に委ねる。非喫食者の例示はアレルギー等で、不登校児と名指しはない
PDF / HTML版 - 文部科学省「学校給食費の抜本的な負担軽減」(制度概要) — 2026年4月開始・公立小学校対象・完全給食で月額5,200円の補助基準額
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/kyu-lighten.html - 文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」(平成27年8月5日・原本PDF) — 全国474施設に送付・319施設が回答。会費「1万円超3万円以下」38.2%・「3万円超5万円以下」36.3%・平均約3万3千円、入会金平均約5万3千円(n=194)、独自の減免制度あり45.2%
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tyousa/__icsFiles/afieldfile/2015/08/05/1360614_02.pdf - 文部科学省「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査結果」(令和元年5月) — 設置の主体は教育委員会が大半(約97%)。公的機関である根拠。調査項目に費用は含まれず、利用料の一次的な断定根拠はないため本文は「原則かからないところがほとんど・実費は要確認」に留めた
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/20/1416689_002.pdf - 文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)について」(制度概要) — 公立は授業料無償・私立は学費
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1387008.htm - 文部科学省「学びの多様化学校 設置者一覧」 — 設置校の一覧(校数は年度で変動するため、最新数はこの一次ページで確認)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1387004.htm - 先端教育オンライン「学びの多様化学校、昨年度から6割以上増加し全国に58校」(2025) — 2025年度58校※文科省公表を報じた参考値。年度で変動するため一次は出典6で確認
https://www.sentankyo.jp/articles/50a7e74d-38c2-41d1-ae58-4519761cc678 - 文部科学省「就学援助制度について(就学援助ポータルサイト)」 — 学用品費・学校給食費・オンライン学習通信費などが援助対象
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/05010502/017.htm - さいたま市「教育相談室・教育支援センター」(取得日:2026-07-24) — さいたま市が運営(旧「適応指導教室」を令和2年度に「教育支援センター」へ改称)。対象はさいたま市在住・在学の小・中学生。学校に通うことが困難な児童生徒に支援・指導を行う。金額:無料(公式ページに明記)
https://www.city.saitama.lg.jp/kosodate/shiritai/category9/p103932.html


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