データ取得日:2026.08.21
山村留学の案内で最初に目に入るのは、「月額◯円」という数字だと思います。ただ、それだけでは決められません。最初にいくら用意するのか。月謝に何が含まれていて、何が別なのか。
このページでは、山村留学にかかるお金を実際の金額で整理します。出典と年度は、それぞれの表と記事の末尾にまとめました。
はじめに知っておいてほしいこと
- 費用は方式と受け入れ先でまったく違います。「山村留学は月いくら」と一言では言えません
- 今回調べた公式案内にはすべて、月謝や年額に「含まれないお金」が明記されていました(学用品・給食費・帰省の交通費など)。パンフレットの月額だけで資金計画を立てないでください
- 金額は年度で変わります。このページの金額は下に書いた年度・時点のものです。申し込む前に、必ずその年度の募集要項で確認してください
山村留学には4つの方式があります
費用の前に、方式の整理です。NPO法人全国山村留学協会は、山村留学の方式を大きく4つに分けています。
| 方式 | 暮らし方 |
|---|---|
| 学園方式 | 月の半分を寮(山村留学センター)で、半分を地域の家庭でホームステイ |
| ホームステイ方式 | 通年で地域の家庭に滞在 |
| 寮方式 | 通年で山村留学センターなどの寮に滞在 |
| 家族方式 | 家族で現地に転居する(親子山村留学) |
——NPO法人全国山村留学協会「山村留学のシステム」の分類より作成(2026年8月21日確認)。なお協会の公式ページに、方式別の費用の金額は載っていません
かかるお金は、この方式でまったく変わります。子どもだけが寮や家庭に入る方式では、入園金と月謝(または年額)が必要です。家族で移り住む方式では、住まいと生活のお金がかかります。順に見ていきます。
目安の金額
全国共通の相場表はありません。そのなかで、長野県の山村留学ポータルサイト「信州自然留学」は、「山村留学にはどの程度の費用がかかりますか?」という質問にこう答えています。
施設によって異なりますが、概ね以下のとおりです。
●長期山村留学(1年滞在型)
・入園金10万~15万円
・月額負担金5万~9万円(食費、保険料、生活費等)
※このほかに、学校での経費(給食費、教材費等実費負担金)が必要
●短期山村留学(2泊3日~1週間)←夏休みや冬休みなど長期休業を利用
・1万数千円~7万円(食費、保険料、生活費等)
※このほかに、現地までの交通費が必要
——長野県の山村留学ポータルサイト「信州自然留学」よくある質問より(2026年8月21日確認)
目安の段階でも、「※このほかに」が2回出てきます。ここから、実際の金額を見ていきます。
実際の金額——受け入れ先4つの例
金額をサイトで公開している受け入れ先から、方式の違いがわかる4つを紹介します。
例1:八坂美麻学園(長野県大町市・学園方式)
公益財団法人 育てる会が運営する学園です。募集案内に金額が明記されています。
| 項目 | 金額(2025年度) |
|---|---|
| 入園金 | 165,000円(税込) |
| 施設教材費 | 154,000円(税込) |
| 月謝(小学生) | 89,100円(税込) |
| 月謝(中学生) | 97,900円(税込) |
| 保証金 | 小学生89,100円/中学生97,900円(非課税・修園後に返金予定) |
| 育てる会の入会金/年会費/面接料 | 3,000円/5,000円/3,000円 |
——公益財団法人 育てる会 八坂美麻学園 募集案内より(2026年8月21日時点で公式サイトに掲載されているのは2025年度の案内です)
大事なのはここからです。募集案内には、学用品・衣料品・医療費・PTA会費・給食費・特別活動費は月謝に含まれず、預かり金で精算すると書かれています。月謝のほかに、こうした実費が預かり金から精算されます。
例2:売木学園(長野県売木村・寮方式)
村の山村留学センターで通年暮らす寮方式です。
| 項目 | 金額(2026年8月21日時点の掲載額) |
|---|---|
| 入学金(初年度のみ) | 100,000円 |
| 月謝 | 小学生65,000円/中学生70,000円 |
——売木村山村留学センター 売木学園 募集ページより(年度の記載なし)
学級費・日用品費は別途です。一方で、村の子育て支援として給食費・教材費の補助と、18歳までの医療費支給が案内されています(適用の条件は村の最新案内で確認してください)。
例3:南砺利賀みらい留学(富山県南砺市・混合型)
月20日前後をセンターで、月10日前後を地域の家庭で過ごす形です。南砺市の事業として、NPOと育てる会が運営します。
| 項目 | 金額(令和9年度=2027年度の予定額) |
|---|---|
| 年額 | 924,000円(税込・77,000円×12回払い) |
——南砺利賀みらい留学 令和9年度募集要項より(2026年8月22日に公式ページで再確認。「費用(予定)」「変更となる場合があります」と明記されています)
学用品・医療費・PTA会費・給食費・活動費は上記に含まれず、預かり金として預けて年度末に清算する方式です。帰省の移動費は保護者負担と明記されています。遠方から参加する場合、帰省のたびの交通費は小さくありません。
例4:鹿追町自然体験留学センター(北海道鹿追町)
センター寮とホームステイの両方を受け入れていて、親子留学の住まいまで同じページに金額が載っています。
| 項目 | 金額(2026年8月22日時点の掲載額) |
|---|---|
| 年額(寮・ホームステイとも) | 617,700円(公式案内に「月額平均51,475円」と併記) |
| 学校経費 | 年間およそ 小学校27,000円/中学校34,000〜47,000円(学年によって若干の変更あり) |
| 体験学習経費 | 年3,000〜10,000円程度(一部が別途) |
| 親子留学の家賃 | 月17,000〜30,000円程度(年収・住宅による) |
——鹿追町自然体験留学センター 募集案内より(年度の記載なし・2026年8月22日に公式ページで再確認。「各経費は今後見直しが考えられる」と明記されています。契約は原則1ヵ年=4月1日〜3月31日)
町の支援として、18歳未満の給食費・医療費無料が案内されています(対象の要件は町の最新案内で確認してください)。親子留学の家賃には、光熱費・水道代・冬の灯油代・車の維持費が含まれません。
「月謝に含まれないお金」を先に数えてください
4つの例に共通していたことがあります。4つとも、募集案内に「これは含まれません」という項目がはっきり書かれていたことです。
- 学用品・衣料品
- 給食費・教材費(受け入れ先によっては自治体補助あり)
- 医療費(同上)
- PTA会費・学級費
- 特別活動費・体験学習費
- 帰省の交通費(家と受け入れ先が遠いほど大きくなります)
- 保険料
検討するときは、「月謝×12」で年間費用を見積もるのではなく、募集要項の「別途」「預かり金」の項目をすべて書き出してから、わが家の場合の合計を受け入れ先に直接確認するのが確実です。入園金・保証金など、最初にまとまって必要になるお金も受け入れ先ごとに違います。
親子で移り住む場合——住居費の公式実例
家族方式(親子山村留学)は、子どもの月謝ではなく家族の生活費の話になります。住居費を公開している自治体の例です。
| 自治体 | 住まい | 支援の内容(公式案内より) |
|---|---|---|
| 丹波山村(山梨県) | 定住促進住宅 月15,000〜20,000円 | 小中の教育費(教材・給食費・修学旅行費など)無償化/保育費・医療費(0〜18歳)無料。制服・かばんなど私物は個人負担 |
| 野迫川村(奈良県) | 村営住宅 使用料月額35,000円を村が全額補助(光熱費は実費・契約期間は4月1日〜翌3月31日の1年間) | 医療費無料(0〜18歳)/給食費無料(小中)/学童保育料無料(小6まで) |
——丹波山村・野迫川村の公式ページより(年度の記載なし・2026年8月21日時点の掲載内容)
こうした支援には、住民登録・年齢・所得などの対象要件があります。わが家に適用されるかは、必ず各自治体の最新の案内で確認してください。
住居費が抑えられている例がある一方で、光熱費・車・引越し代・親の仕事の変化は、どの自治体の案内にも金額として載っていません。家計全体では、住居費よりこちらの影響が大きくなることがあります。移住をともなう検討は「山村留学・小規模校・移住の違い」もあわせて読んでください。
小規模特認校なら、授業料はかかりません
「小さな学校に通わせたい」が目的なら、家の近くに小規模特認校があるかを先に調べる道もあります。通学区域に関係なく、指定された小規模校に通える公立の仕組みで、義務教育なので授業料はかかりません。ただし、給食費・教材費・PTA会費など、公立の小中学校と同じ自己負担は別にあります(金額は各学校・自治体の案内で確認してください)。
そしてもうひとつ、案内にはっきり書かれている自己負担があります。通学のお金です。
市及び学校からの通学に要する費用の補助はありません。
——静岡市 小規模特認校の案内より(2026年8月21日確認)。公共交通機関または送迎で、おおむね1時間以内に通学できることが条件とされています
原則として通学は、保護者の送迎により通学すること。なお、通学にかかる交通費は、保護者が負担すること。
——神埼市 小規模特認校の案内より(2026年8月21日確認)
毎日の送迎の時間と交通費も、年間で考えて確かめておきたいところです。制度の中身と学校生活のリアルは「複式学級はどう進む? 友だち関係はどうなる?」で書いています。
離島留学という道もあります
山村留学と似た仕組みに、島の学校で暮らす離島留学があります。このサイトではまだ個別に扱えていません。検討する場合は、その島の公式の募集要項で費用を確認してください。
申し込む前に、お金で確認すること
受け入れ先に聞く・募集要項で確かめることリスト
- 最初に必要なお金の全部(入園金・施設費・保証金・入会金など)と、保証金が返る条件
- 月謝・年額に「含まれないもの」の一覧と、預かり金の毎月の実績目安
- 帰省の頻度のきまりと、1回あたりの交通費
- 給食費・医療費などの自治体支援の条件と年齢の上限
- 途中でやめた場合のお金(返金の有無・違約の定め)
- その金額は何年度のものか(募集要項の年度を必ず確認)
なお、このページの金額は確認した時点のものです。来年度には変わっている可能性があります。最新の金額は、いつでも受け入れ先の募集要項で確かめるのが確実です。
学び場を比べる観点は「学び場を比べるときの確認項目」に、不登校がきっかけで山村留学を考えはじめた方は「不登校の子でも、山村留学はできる?」にまとめています。
この記事の出典
- 公益財団法人 育てる会「八坂美麻学園 2025年度募集案内(費用)」
http://www.sodateru.or.jp/sanson/chouki/admission.html (取得日:2026-08-21)
- 売木村山村留学センター 売木学園「募集について」
https://sanson.urugi.jp/bosyuu.html (取得日:2026-08-21)
- 南砺利賀みらい留学「長期山村留学 募集要項(令和9年度)」
https://nanto-toga.com/chouki/youkou (取得日:2026-08-21)
- 鹿追町自然体験留学センター「募集案内」
https://www.shikaoi-study.jp/guideline/ (取得日:2026-08-21)
- 長野県「信州自然留学(山村留学ポータルサイト)よくある質問」
https://sansonryugaku.nagano.jp/faq/ (取得日:2026-08-21)
- NPO法人全国山村留学協会「山村留学のシステム」
https://www.sanryukyo.net/new/whatis/system/ (取得日:2026-08-21)
- 丹波山村「山村留学・移住定住の案内」
https://www.vill.tabayama.yamanashi.jp/kurashi/sanson/ (取得日:2026-08-21)
- 野迫川村「教育の支援(村営住宅・無償化等)」
https://www.vill.nosegawa.nara.jp/top/soshiki/kyouiku/life/education/603.html (取得日:2026-08-21)
- 静岡市「小規模特認校について」
https://www.city.shizuoka.lg.jp/kyoiku/s002149.html (取得日:2026-08-21)
- 神埼市「小規模特認校制度」
https://www.city.kanzaki.saga.jp/main/10474.html (取得日:2026-08-21)
費用・支援制度は年度で変わります。実際に検討するときは、必ず受け入れ先・自治体の最新の募集要項でご確認ください。

