不登校でも、高校には行けます——進路の道と高校受験のしくみ

朝の光の中、橋を渡って並木道へ向かう学生の後ろ姿の水彩イラスト いまの学校がつらいとき

データ取得日:2026.08.19

お子さんが学校を休む日が続くと、「このままで高校に行けるのだろうか」という心配が、頭から離れなくなると思います。受験のしくみは調べてもわかりにくく、「内申はどうなるのか」「欠席日数は見られるのか」と、不安だけがふくらみがちです。

このページでは、その心配に、数字と制度で答えていきます。実際にどのくらいの子が進学しているか。受験のしくみはどうなっているか。そして、道が一本ではないこと。数字はすべて文部科学省などの資料をもとにし、出典と確認日は末尾にまとめました。

先に結論:追跡調査では85.1%が進学。道も一本ではありません

  • 中学3年生のときに不登校だった子のうち、85.1%が、卒業直後の4月時点で高校などに進んでいました(文部科学省の追跡調査。2006年度に中3だった子を5年後に調査したもの)
  • あとから進学した子も入れると87.2%です
  • 進み先は全日制だけではありません。定時制・通信制、不登校を経験した子を主に受け入れる公立高校、高卒認定という道もあります
  • 欠席が多い受験生のために、事情を伝える仕組みや特別な選抜を用意している都道府県があります

進学できるかどうかという不安には、実際の数字がいちばんの手がかりになります。まずはそこから見ていきます。

不登校だった子は、そのあとどうなっているか

文部科学省は、2006年度(平成18年度)に中学3年生で不登校だった子どもたち(全国で41,043人)のうち2,561人に、5年後の20歳のときにアンケート調査をしています。報告書には、こういう断り書きがあります。

今回の調査は、全調査対象者41,043人のうち、アンケート調査(B調査)は1,604人、電話によるインタビュー調査(C調査)は379人というサンプルとしての回答であり、この調査結果は必ずしも不登校全体の傾向を正確に示すものとは言えないが、(後略)

——文部科学省「不登校に関する実態調査」〜平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書〜(p.3)より。文の途中までの引用です

回答した人にかたよりがありうる、という意味です。それを頭に置いたうえで、回答した1,604人の結果を見てください。

中学卒業直後(4月時点) 割合
高校などに進んだ(就学のみ) 80.9%
進学して、働いてもいる 4.2%
働いた(就業のみ) 6.0%
進学も就職もしていない 8.4%
中学卒業直後(4月時点)の進路2006年度に中学3年生で不登校だった子どもへの追跡調査。回答者のうち、高校などに進んだ(就学のみ)80.9パーセント、進学して働いてもいる4.2パーセント、働いた6.0パーセント、進学も就職もしていない8.4パーセント。就学の合計は85.1パーセント。中学卒業直後(4月時点)の進路高校などに進んだ(就学のみ)80.9%進学して、働いてもいる4.2%働いた(就業のみ)6.0%進学も就職もしていない8.4%濃い色=進学した子(合計85.1%)。四捨五入のため合計は100%になりません。出典:文部科学省「平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」(回答1,604人)/取得日 2026年8月3日

進学した子の合計は85.1%。前回の同種の調査(1993年度に中3だった子が対象)では65.3%でした。報告書は、同一の調査ではないため単純な比較はできないとしつつ、「不登校生徒の高校進学率は確実に向上していると考えられる」と書いています。

正直に添えると、同じ時期の中学卒業者全体の進学率は98.0%なので、差がないわけではありません。また、進学した子のうち14.0%は高校を中退しています。それでも、20歳の時点の状況は次のとおりでした。

  • 何らかの学校に在学している:46.7%(大学19.0%・専修学校など14.9%・通信制高校5.5%ほか)
  • 働いている:53.4%(「とくに仕事についていない」と答えた43.8%には、学生や専業主婦なども含まれると報告書に注記があります)

もうひとつ、2025年に公表された調査があります。小・中学校で不登校を経験したと答えた18〜59歳の18,207人に、インターネットでたずねたものです。「あった」と答えた人の割合は、次のとおりでした。

  • 学業(受験や資格試験など)で苦労した:52.2%
  • 人との関わりに苦労した:70.0%
  • 成長した、視野が広がった:53.8%
  • 人に優しくなった、人の痛みが分かるようになった:67.5%

苦労した人が多いのも、成長を感じた人が多いのも、どちらも事実——それがこの調査の結果です。

不登校を経験した人の「苦労」と「成長」不登校を経験したと答えた18から59歳、18,207人への2025年公表の調査。あったと答えた人の割合。学業で苦労した52.2パーセント、人との関わりに苦労した70.0パーセント、成長した・視野が広がった53.8パーセント、人に優しくなった67.5パーセント。不登校を経験した人の「苦労」と「成長」学業(受験や資格試験など)で苦労した52.2%人との関わりに苦労した70.0%成長した、視野が広がった53.8%人に優しくなった、人の痛みが分かるようになった67.5%数値=「あった」と答えた人の割合。薄い色=苦労/濃い色=成長の項目出典:文部科学省「不登校経験者等を対象とする調査」(2025年公表・回答18,207人)/取得日 2026年8月3日

数字が示しているのは、「不登校だと進学できない」わけではない、ということです。いっぽうで、一人ひとりの合否を約束する数字でもありません。そのうえで、受験のしくみを見ていきます。

高校受験のしくみ——調査書(内申)と欠席は、どう扱われるか

たとえば東京都や埼玉県の公立高校の入試では、当日の学力検査に加えて、中学校が作成する調査書(いわゆる内申書)が使われます。そして、調査書をどう使うかを含めた入試の決まりは、都道府県ごとに定められていて、同じではありません。だから「欠席日数は受験でこう扱われる」と全国一律には言えないのです。しかも、決まりは毎年度見直されます。ここでは、事情のある受験生のための仕組みが実際にある例を、決まりの文章のまま見てみます。

東京都の入試の決まり(令和8年度の実施要綱の細目)には、こう書かれています。

都立高校に理解してほしい事情を説明する必要がある場合、志願者は、自己申告書(様式13)を志願する都立高校の校長に提出することができる。

——東京都教育委員会「東京都立高等学校入学者選抜実施要綱の細目」(令和8年度)第1-3より

これは不登校の子専用の制度ではなく、「理解してほしい事情」を伝えたい人が任意で出せる書類です。出せば有利になる、という決まりでもありません。ただ、事情を高校側に伝えるための書類が、制度として用意されているということです。

埼玉県には、名前に「不登校」が入った選抜があります(令和8年度の実施要項より)。

令和8年3月31日までに中学校を卒業する見込みの者で、中学校在学中に一過性のつまずきなどにより不本意な中学校生活を送った者で、在学中学校長が、不登校の生徒などを対象とした特別な選抜による出願に該当すると認めた者。

——埼玉県教育委員会「令和8年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施要項」第6「不登校の生徒などを対象とした特別な選抜」出願資格より

この選抜は、原則として全日制・定時制の全ての学校・学科等で実施され、自己申告書(様式6)の提出と個人面接があります。出願できるのは「在学中学校長が該当すると認めた者」——つまり、この選抜の入口は、在籍している中学校への相談です。

大切なのは、こうした仕組みの有無も中身も都道府県で違い、毎年度見直されるということです。ここで見た2つは、どちらも令和8年度の決まりです。実際に受験する年度にどうなっているかは、県教育委員会のサイトで最新年度の「入学者選抜実施要項」を確かめたうえで、中学校の先生にも相談するのが確実です。

現場での経験

筆者は現役の小学校の教員ですが、以前、中学校で3年生の進路指導主事を務めていました。

調査書は、事実と違うことを書くことはできません。正直に書くしかない書類です。そのうえで、欠席が多い生徒が不利になりすぎないように、書ける配慮は尽くしたいと考えていました。

高校側と話す機会には、その子のよさや興味関心、頑張れることを伝えるようにしていました。休みがちの子にも、何かしらの興味や、将来の夢や展望はあります。それが伝わるようにするのが、進路指導の仕事のひとつでした。

これは私が勤めてきた学校での動き方で、すべての学校が同じとはかぎりません。それでも、調査書や受験のことを中学校に相談するのは、特別なことではなく、進路指導のふつうの仕事の範囲です。

選べる道は、一本ではありません

「高校」とひとことで言っても、通い方の違うタイプがあります。主なルートを整理します。

ルート どんなしくみか 確かめ先
全日制高校 一般に、平日の昼間に毎日通うタイプ 都道府県教育委員会・各校
定時制高校 一般に、夜間など決まった時間帯に通う。しくみは学校による 同上
通信制高校 一般に、自宅などでの学習と登校日(スクーリング)を組み合わせる 同上
不登校経験者を主に受け入れる高校 例:東京都のチャレンジスクール(7校)。「学力検査や中学校からの調査書によらず、学習や学校生活への意欲を重視した入試」(都教育委員会)で、不登校経験のある生徒などを主に受け入れる三部制の高校 各都道府県教育委員会(名称・有無は地域で異なる)
高等学校卒業程度認定試験(高認) 高校に行かずに、大学・専門学校などの受験資格を得る国の試験(合格しても「高校を卒業した」ことになるわけではありません)。受験する年度の終わりまでに満16歳以上なら受験でき、高校に在籍したままでも受験できます。年2回(2026年度は8月と11月) 文部科学省の公式ページ

どれが上でどれが下、ということはありません。ただし、通い方だけでなく、得られる資格や費用、卒業・進学の条件はそれぞれ違います。お子さんのいまの状態と続けやすさに加えて、その違いも確かめながら選んでいく道です。なお、中学校の段階で学びの場を変える道(学びの多様化学校)については、学びの多様化学校をさがす(全国84校)に一覧があります。

「合格できるか」「続くか」という不安について

現場での経験

進路指導主事として保護者の方と面談するなかで、よく聞いた不安は、大きく2つでした。「合格できるのか」。そして「高校で環境が変わったら、また行けなくなるのではないか」です。

私は、環境が変わることが悪い方向に出るとは限らない、良くなるかもしれない——ということも、あわせて伝えていました。実際にどうなるかは、一人ひとり違います。それでも、環境が変わることを、不安の材料としてだけ数えなくていいと思います。

もちろん、これは私が出会ってきた生徒や家庭の範囲での話で、どの子にも同じように当てはまるとはかぎりません。

「続くか」が心配なときは、通い方の負担が軽いルート(定時制・通信制・三部制など)を、はじめから候補に入れて考えることができます。見学や個別相談で、通い方や支援が本人に合いそうかを確かめられます。合わなかったときに転入・編入などで道を変えられる場合もあります(募集時期や条件は学校ごとに異なります)。

中学にいるあいだに、できること

受験を待つあいだにも、できることがあります。

中学校・教育委員会にたずねるとき

  • 「調査書は、いまの欠席の状況だと、どのように書かれますか」
  • 「欠席の事情を高校側に伝える仕組み(自己申告書のようなもの)は、この県にありますか」
  • 「不登校の生徒を対象にした選抜や、受け入れを主にしている学校は、この県にありますか」
  • 「志望校を決める前に、見学や個別相談はできますか」

まとめ

  • 中3で不登校だった子の85.1%が卒業直後に高校などへ進学(2006年度対象の文部科学省追跡調査。前回調査の65.3%から向上)
  • 調査書のしくみは都道府県ごとに違う。事情を伝える書類(東京都の自己申告書)や、不登校の生徒などを対象にした特別な選抜(埼玉県)がある
  • 道は全日制だけではない。定時制・通信制・チャレンジスクールのような学校・高認という道もある
  • 公立高校の受験では、まず在籍している中学校に相談するのが出発点。調査書も配慮の仕組みも、そこから動き出す(高認のように、中学校を通さない道もある)
  • 経験者への調査では、苦労についての項目も、成長についての項目も、半数を超える人が「あった」と回答。片方だけの未来が決まっているわけではない

学校を休んでいる間のお金や制度が気になったときは、学校を休んでいる間のお金と制度にまとめています。ほかの記事はいまの学校がつらいときからたどれます。

出願や見学には日程の区切りがあるので、最新の日程だけは早めに確かめておくと安心です。そのうえで、急いで決めなくて大丈夫です。お子さんに合う場所を、いっしょにさがしていきましょう。

出典

  1. 文部科学省「不登校に関する実態調査」〜平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書〜(平成26年7月) ── 卒業直後の就学85.1%(就学のみ80.9%・就学+就業4.2%)/就業のみ6.0%/進学も就職もせず8.4%/前回(平成5年度対象)65.3%/「不登校生徒の高校進学率は確実に向上していると考えられる」(p.34)/後から進学を含む就学87.2%/高校中退率14.0%/20歳時点の在学46.7%(大学19.0%・専修各種14.9%・短大3.6%・通信制高5.5%・定時制高3.1%・全日制0.3%)/就業53.4%・とくに仕事についていない43.8%(学生・専業主婦などを含む注記あり)/比較対象=平成19年3月中卒者全体98.0% https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1349956.htm (取得日:2026-08-03)
  2. 文部科学省「不登校経験者等を対象とする調査」概要版(令和7年・2025年11月5日掲載) ── n=18,207(18〜59歳)/学業で苦労52.2%/人との関わりに苦労70.0%/成長した・視野が広がった53.8%/人に優しくなった67.5% https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1397808_00001.htm (取得日:2026-08-03)
  3. 東京都教育委員会「東京都立高等学校入学者選抜実施要綱の細目」(令和8年度) ── 自己申告書(様式13)の規定(第1-3)。引用は原文照合済み https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kyoiku/20250925_n2_25 (取得日:2026-08-19)
  4. 東京都教育委員会「これまで設置してきた多様なタイプの学校」/「だから都立高」チャレンジスクール ── チャレンジスクール7校・「小・中学校時代に不登校経験を持つ生徒…を主に受け入れる」三部制/「学力検査や中学校からの調査書によらず、学習や学校生活への意欲を重視した入試」 https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/high_school/typehttps://www.toritsuko.metro.tokyo.lg.jp/challenge/ (取得日:2026-08-03)
  5. 埼玉県教育委員会「令和8年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施要項」第6「不登校の生徒などを対象とした特別な選抜」 ── 出願資格・全日制/定時制の全校実施・自己申告書(様式6)・個人面接。引用は原文照合済み https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/268456/07dai6_r8.pdf (取得日:2026-08-03)
  6. 文部科学省「高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)」 ── 受験資格「受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる方が受験できます。高等学校等に在籍されている方も受験が可能です」/年2回(令和8年度=8月6・7日/11月7・8日) https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/index.htm (取得日:2026-08-03)
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